Geisha


10月19日(日)

過去3年ほどの間に何度かアメリカ人やイギリス人から「Geishaという本を読んで感動した。あの本の内容は本当か。」などという質問を受けた。私は、そんな本読んだことも聞いたこともないので、そう答えていた。

どうせ外人向けの興味本位の、オリエンタリズムの本に違いないと思って、不愉快でもあった。場合によってはその質問者は日本人を批判したいのかもしれないと勘ぐってもみた。

ずっと気になっていたが、本屋にないのだから内容を確かめることも出来なかった。

すると愚息が先日英国語学「留学」から帰ってきて、イタリア人から同じような質問を受けたとのこと。ますます気になっていた。

これは、われわれ日本人の知らないところでとんでもないプロパガンダが世界中に流されているのかもしれない。ひょっとすると、あの慰安婦問題より厄介なことになるかもしれないとの危惧が膨らんだ。

今日の日経の朝刊でやっとその正体を知ることが出来た。

五段抜きで広告が出ていたのだ。

「世界17カ国で出版。感動、感銘の声!」「日本人が忘れていた大事なもの」「400年の伝統を継承する祇園と芸妓の真実を伝えたい」「6歳から祇園に入り、日々精進を重ねた著者は、何を学び、何を大切にしてきたのか?」「先行発売『Geisha,aLife』米で30万部、英仏で各15万部ベストセラー 待望の日本バージョン!」とある。

「先行発売」とはよく言ったものだ。どうせその出版社は、海外で売れて初めてその本の存在を知ったに違いない。が、それはどうでもいい。

どうやら私の邪推は外れていたようだ。むしろ、これも、日本の伝統の良さを海外が評価して初めて日本人が飛びつくというよくある情けない例らしい。読んで見たいと思う。

ちょっと違うが、似た例をもうひとつ。これは外人が書いた日本についての本。こっちのほうはもっと多くの人に知られていると思われる。私もすでに読んだ。日本語の題名は「犬と鬼」。原題は「Doggs and Demons」。著者アレックス・カーは、「美しき日本の残像」という本を日本語で書いて1994年の新潮学芸賞を外国人で初めて受賞している。

是非ご一読を。ただし「犬・・」のほうは日本の文化面、社会面のほか、政治的問題にもかなりの比重を置いているのでそのつもりで。

私は彼の指摘のいくつかの細部に意義有りだが、全体として実に丁寧に論じられた、また、核心をついた好著だと思う。

日本人たちよ、しっかりしないと恥ずかしいよ。

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最終更新日 : 平成十五年十月二十一日